南北一家親(The Greatest Wedding on Earth)



1962年。鍾啓文、宋淇製作。張愛玲脚本。王天林監督。丁皓、白露明、雷震、張清、梁醒波、劉恩甲主演。
1961年の『南北和』の大ヒットを受けて製作された、「南北シリーズ」第2弾。


『南北一家親』は、脚本を作家・張愛玲が手がけた作品(原作は秦亦孚)で、その他のスタッフ・キャストは、『南北和』とほぼ同じです。
劉恩甲の妻役で、王莱が加わっています。

今度は向かい同士で張り合うレストランを舞台に、上海人の兄妹と広東人の兄妹がそれぞれ恋に落ちるという設定。

上海人の李曼玲(丁皓)は、ラジオ局(広東語放送)のDJ。
広東人の恋人・沈清文(張清)がいます。
曼玲は、清文の家族と会うときには得意の広東語を駆使、手土産に大根餅も持参して、準備に余念がありません。
清文の家族は上海人嫌いでしたが、父親でレストラン経営者の沈敬炳(梁醒波)は曼玲が広東人だとすっかり信じ込み、結婚に大賛成します。
しかし、清文が曼玲の家族に挨拶に出向いたさい、清文の北京語があまりにも下手なため、彼女の両親(劉恩甲、王莱)には彼が広東人だとすぐにばれてしまい、いったんは反対されます。
が、清文の職業が衛生署の職員だったことから、レストランを経営する父・李世普は、商売上の利害を考えた上で結局賛成、両家の顔合わせが行われます。
ところが、日頃向かい合わせに店を構えて何かと対立している相手がそれぞれの父親だったことがわかって、その場は険悪なムードになり、最終的に、敬炳と世普が大喧嘩を始めてしまい、顔合わせは不調に終ります。
その後、互いの知人が仲介に入るものの、またしても喧嘩になり、仕方なく曼玲の兄・煥襄(雷震)と清文の妹・佩明(白露明)が代理に立って結婚の相談を始めると、今度はその二人が恋に落ちてしまいます。
兄と妹の機転でどうにか結婚式を終えた清文と曼玲はハネムーンに出発、一件落着しますが、煥襄と佩明が「実はぼくたちも結婚したいんだけど」と切り出して、びっくりした二人の父親は気を失ってしまうのでした。

臭豆腐(上海小吃)と大根餅(広東小吃)といった、些細ですが決定的な味覚の対立や、レストランで父親が喧嘩を始めると、居合わせた他の客がどちらが勝つか賭けを始める趣向、ラジオのDJという当時最先端の職業を取り上げていること等、いろいろバージョンアップしていますが、トータルでみると、『南北和』の時ほどの新鮮味はないような気がしました。
じっさい、興行成績も『南北和』の方がよかったそうです。
この後もう1本、「南北シリーズ」第3弾として、『南北喜相逢』(1964)という映画が撮られますが、この時には丁皓はすでに電懋を去った後でしたので、鍾情(1933〜)が代わりに上海娘を演じています。

ところでこの作品、モノクロ・スタンダードサイズの映画ですが、この頃(1962年)、すでにライバルの邵氏ではカラー・シネスコサイズの映画が主流になりつつありました。
作品のクオリティーはともかく、こうした技術競争に出遅れたことも、電懋が凋落していく原因の一つだったのだなあと、つくづく残念に思いました。
いい映画なんですけれど。


主要参考文献:
『國泰故事』(2002年、香港電影資料館)
『邵氏電影初探』(2003年、香港電影資料館)
『昨夜星光 香港映画を彩るヒーローとヒロインたち』(1996年、ワイズ出版)







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