『ホノルル・東京・香港』(『香港・東京・夏威夷』)あらすじ
舞台はハワイ・ホノルル。
ミス・ハワイの祝賀パーティーが、華々しく行なわれています。
しかし、肝心のミス・ハワイが会場にいません。
その頃、ミス・ハワイに選ばれた呉愛玲(尤敏)は、パーティー会場を抜け出して、一人ヨット・ハーバーに来ていました。
そこへやって来た大学のクラスメート・テル子(星由里子)と玉梅(〔廣β〕宝珍)に、愛玲は「自分は応募した覚えなどないのに、ミス・ハワイに選ばれた上に、水着姿でステージにまで立たされて恥をかいた」と訴えます。
どうやら留学生でやはりクラスメートの岡本次郎(加山雄三)が勝手に応募したらしいとわかり、愛玲は次郎への仕返しを計画します。
一方、次郎はホノルル空港へ、兄の岡本雄一(宝田明)を迎えに行っていました。
やって来た雄一に、次郎は、雄一の初恋の女性である桜井美代子(草笛光子)が、米軍兵士と結婚してホノルルに住んでいることを告げます。
雄一をホテルへ送る途中、クラスメートに会った次郎は、愛玲がミス・ハワイに選ばれたと知り、愛玲が仕返しを企んでいることなど何も知らずに、大喜びします。
仕返しを実行に移すべく、愛玲は、次郎やテル子たちを誘って、ヨットでセーリングに出かけますが、ヨットが沖へ出たところで、愛玲は次郎を海に突き落としてしまいます。
次郎は、岸辺まで自力で泳いでいくしかありませんでした。
愛玲が自宅へ戻ると、父(王引)と母(王莱)が、ミス・ハワイの賞品である「ハワイ−東京−香港」の周遊チケットを手に、愛玲の帰りを待っていました。
チケットを愛玲に渡した父母は、愛玲が自分たちの実の娘ではないこと、愛玲には実の妹の愛蘭がいて、香港で別の人に引き取られて幸せに暮らしていること、さらに、愛玲には実の親が生きている頃に決めた許婚がいて、今は香港に住んでいること、等を話します。
そして、このチケットで香港へ行き、実の親の墓参りをして、妹と許婚に再会するようにと告げるのでした。
日も沈みかけた頃、ようやく岸まで辿り着いた次郎は、雄一の泊まるホテルへ行き、服を着替えて、雄一と共に美代子が働いているバーへ行きます。
二人がバーで飲んでいると、美代子が現れて、雄一と再会します。
翌日、雄一は美代子の案内で、美代子の夫の墓を訪れます。美代子の夫は、ベトナムで殉職していたのでした。
墓参りを済ませた二人が街を歩いていると、次郎と愛玲が車で通りかかります。
次郎は雄一と美代子に愛玲を、雄一は愛玲に美代子を紹介しますが、愛玲の姿を見た美代子は、逃げるようにその場を立ち去ってしまいます。
いぶかしがる雄一に、愛玲は、美代子はパイナップル農園で働いている人で、夫とは離婚したこと、元の夫は博打好きで酒びたりであることなどを告げますが、美代子が嘘をついているとは思えない雄一は、その話を頑として受け付けません。
次郎と愛玲は、雄一をホテルへ送っていき、3人はお茶を飲みながら話をしますが、自分の言うことを信じない雄一に対して、愛玲は美代子の別れた夫が、かつて自分の父が経営するレストランで働いていたこと、そのとき夫を迎えに来た美代子に対して、酒に酔った夫が包丁を振り回して暴れたこと等を話して聞かせます。
しかし、雄一は、それでも愛玲の言うことを信じないばかりか、怒って席を立ってしまいました。
愛玲は、雄一のことを失礼な人間だと思うのでした。
翌日、次郎と愛玲は、雄一を連れてハワイ島観光へ出かけました。
ハワイ島内を巡りながら、愛玲は美代子がなぜ雄一に嘘を言ったのか、その理由に気づきます。曰く「美代子はまだ、雄一のことを愛しているのだ」と。
これを聞いて、雄一はまたまた不機嫌になり、観光を切り上げてホノルルへ戻ってしまいます。
ホノルルへ戻った後、愛玲の言葉が気になった雄一は、次郎とパイナップル農園まで車を走らせました。
パイナップル農園に着いた雄一が見たものは、確かに、愛玲の言うとおり、農園で働く美代子の姿でした。
夫と離婚した美代子は、日本へ帰る旅費を稼ぐため、昼はパイナップル農園、夜はバーで働いていたのです。
雄一は、美代子に声をかけずに、そのまま農園を後にします。
雄一は熟慮の末、美代子に日本行きのチケットを送ることを決意、次郎を通じて美代子にそれを渡すのでした。
さて、愛玲は賞品のチケットで東京〜香港の周遊旅行へ出かけることになり、ちょうど東京へ帰る雄一が、彼女のお目付け役を務めることになりました。
空港で沢山の人たちに見送られながら、愛玲と雄一は東京へと旅立ちますが、その2人に、遠くから1人そっと別れを告げる美代子の姿がありました。
東京では、雄一の両親と祖母(飯田蝶子)が空港まで迎えに来ていましたが、見慣れない若い女性を同伴している雄一に対して、祖母は疑惑の目を向けます。
愛玲の紹介もそこそこに、雄一は愛玲を馴染みの日本旅館へ連れて行き、女将(藤間紫)に面倒を見てくれるよう頼みます。
ようやく帰宅した雄一は、愛玲のことを根掘り葉掘り聞いてくる祖母に手を焼きながら夕食をとりますが、そこへ旅館の女将から電話がかかってきます。
女将は、愛玲が言葉は通じないわ、海老の躍りを食べたら口の中で海老が動いたので大騒ぎするわ、湯豆腐を食べて口の中をやけどするわで、とんでもない人を連れてきてくれたと、かんかんになって怒っています。
なんとか女将をなだめて愛玲に電話を替ってもらうと、日本語がわからない彼女は、「眠くてしようがないけれど、ここにはベッドもないし、どうすれば寝ることが出来るのか」と聞いてきました。
あきれた雄一は、「『眠い』と言え」と言って、電話を切ります。
翌日、家業の真珠店へ出勤した雄一の元へ、数寄屋橋の派出所から電話がかかってきます。
愛玲が一人で外出して、迷子になっていたのでした。
雄一は、あわてて愛玲を迎えに行き、自ら観光案内をしますが、愛玲はありきたりな観光名所を回るのはイヤだと駄々をこね、雄一を困らせます。
その頃、雄一と愛玲の仲を心配した祖母は、知り合いの興信所へ行き、探偵(三木のり平)に二人の尾行を依頼していました。
昼食をとりに愛玲を連れて寿司屋へ入った雄一は、わがままな愛玲への仕返しとばかりに、わさびたっぷりの寿司を彼女にご馳走します。
と、そこへ怪しげな観光ガイドが2人やってきて、言葉巧みに愛玲を連れ出そうとします。
2人を蹴散らした雄一は、「変な人間に引っかかってはいけない」と愛玲を叱り飛ばしますが、叱られてびっくりした愛玲はその場に転んでしまい、その拍子にハイヒールのかかとが折れてしまいます。
ハイヒールを直してもらう間、2人は近くの喫茶店でお茶を飲みながら時間をつぶすことにしました。
ようやくハイヒールが直ったので、雄一はそれを受け取って店に戻りますが、「あなたは私に惚れている」という愛玲に雄一が猛反発して喧嘩に発展、怒った雄一はハイヒールを持ったまま出て行ってしまいます。
ハイヒールを持ったままであることに気づいた雄一は、あわてて店に引き返しますが、愛玲の姿はすでにそこにはありませんでした。
雄一は愛玲を探してあちこち歩き回りますが、彼女は見つかりません。
旅館にも電話を入れますが、まだ戻って来ていませんでした。
あきらめた雄一が自宅へ戻ると、そこには祖母とすっかり仲良しになった愛玲がいました。
「親切な人がここまで送ってくれたのよ」と、けろりとしている愛玲を見て、思わずかっとなった雄一は愛玲の頬を平手打ちし、「お前みたいなわがままな女は、俺の女房にして性根を叩きなおさなきゃダメなんだ!」と、逆説的な愛の告白をします。
雄一の愛の告白に対して、愛玲は「でも私には、香港にフィアンセがいるのよ」と言い、雄一を煙に巻きます。
しかし、雄一に告白されて満更でもない愛玲は、その晩さっそく次郎に電話、これまでの経過報告をします。
実は愛玲のことが好きだった次郎は、話を聞いてびっくり仰天、「君のことを本当に愛しているのは俺だ!」と宣言、愛玲の両親の許へ押しかけて、「あなたの大事な娘さんが、私の野蛮な兄に狙われている」と直訴します。
しかし、愛玲の父は怒るどころか「愛玲には、香港にフィアンセがいるのですよ」と笑いながら言い、腹の虫が収まらない次郎はすぐさま飛行機に乗って、日本へ向かうのでした。
次郎が日本へ戻ると、雄一は愛玲と一緒に香港へ行ってしまった後でした。
やけになって「死んでやる!」と叫ぶ次郎に、祖母は箪笥から短刀を取り出して、「そんなに言うなら、おばあちゃんの見ている前で、今すぐ死んでおしまい!」と一喝、次郎はすごすごとハワイへ引き返します。
香港へ着いた愛玲と雄一は、愛玲の妹・愛蘭(陳慧嫻)とその養父母(高原、馬笑儂)の出迎えを受けますが、そこには許婚の鄭浩(林沖)の姿がありませんでした。
鄭の消息を尋ねる愛玲に、愛蘭は「風邪を引いていて、今日は来られない」と説明します。
翌日、愛蘭の家にやって来た鄭と、愛玲、愛蘭の3人は、姉妹の実の母親の墓参りに出かけますが、そこで愛蘭は鄭と愛し合っていることを愛玲に告白します。
愛玲は妹の告白に衝撃を受けながらも、2人を祝福してその場を立ち去ります。
その後、鄭は雄一の許を訪れ、自分は愛玲ではなく、愛蘭と結婚するつもりだと告げます。
思わぬ朗報に雄一が喜んでいると、そこへ愛玲から電話がかかってきました。
雄一は、愛玲を散歩に誘い出します。
鄭との婚約が破談になったことを素直に言うことが出来ずにいる愛玲に、雄一は全てを知っていると告げるのでした。
日本へ戻った雄一は愛玲と婚約しますが、2人で出かけたナイトクラブで偶然美代子と再会します。
美代子は2人に、雄一から貰ったチケットで日本へ帰ってきたが、もう一度ハワイへ戻って別れた夫とやり直してみようと思っていると話します。
雄一と愛玲が婚約したという知らせは、ハワイの次郎の許へも届きました。
手紙を読んでがっかりする次郎でしたが、自分をやさしく慰めるテル子を見て、次郎は彼女への愛に気づきます。
やがて、愛玲がハワイへ帰る日が来ました。
しばしの別れとなる愛玲に、雄一はキスをせがみますが、愛玲は雄一に平手打ちをお見舞いし、「これが日本人の愛情表現なんでしょ」と茶目っ気たっぷりに言って機上の人となるのでした。
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