『社長洋行記 正・続』あらすじ




貼り薬「サクランパス」は、国内では圧倒的なシェアを誇っていますが、東南アジア方面ではなぜか売り上げが振るいません。
そこで、社長の本田(森繁久彌)は、東南アジアへの販売を担当する商社の加藤(東野英治郎)を招いて接待ゴルフを行い、テコ入れを図ろうとしますが、当日、娘のめぐみ(中真千子)が恋人の三条河原(江原達治)と朝帰りをしたので家の中はてんやわんや。
おまけに、めぐみの妊娠が発覚したため、狼狽した本田は接待ゴルフをキャンセルしてしまいます。

後日、改めて加藤を招き、中華レストラン・香港亭で接待を行ないますが、ゴルフがキャンセルになったことを根に持つ加藤は本田をさんざんに罵倒、頭にきた本田は自ら香港へ乗り込んで売り込みを図ることを宣言します。
香港へは、本田の他に秘書課長の南(小林桂樹)、営業課長の中山(三木のり平)が同行することになりますが、部長の東海林(加藤大介)の馴染みの店のママ・あぐり(草笛光子)の弟が香港にいることがわかり、急遽中山に代わって東海林が同行することに決まりました。

出発前日、めぐみの結婚式をあわただしく済ませ、3人は香港へと向かいますが、機内でぐうぜん香港亭のマダム・悦子(新珠三千代)と乗り合わせます。マダムは、香港で東京亭という日本料理店を経営していたのでした。
マダムとすっかり打ち解けた本田は、香港に着いたら改めて連絡することを約束します。

香港到着後、あやしい日本人エージェント・坂田(フランキー堺)の出迎えを受けた3人でしたが、どうにかホテルに落ち着いて、その日は終日自由行動ということになりました。
英語が少しできる南は、ガイドブック片手に市内観光に出かけますが、そこで大学時代の後輩・柳宗之(洪洋)と再会します。
柳は、日本に留学後、故郷の香港に帰って日本語教師をしていました。
柳に香港を案内して貰うことにした南は、柳から妹・秀敏(尤敏)を紹介されます。
英語が堪能で車の運転が上手、しかもとびきりの美人である秀敏に、南はたちまちのぼせ上がってしまいます。

一方、本田はさっそくマダムに電話を入れ、デートの約束を取り付けます。
しかし、東京亭の場所がよくわからないので、偶然通りかかった香港女性に覚えたての中国語で道を尋ねると、女性は親切に東京亭のあるビルまで本田を送ってくれました。
女性の美しさに鼻の下を長くする本田でしたが、その女性は、南がのぼせ上がった秀敏その人でした。
マダムとの浮気を夢見る本田は、それとなくマダムに迫るものの、うまくかわされてしまいます。

夕食時、鍋料理の店で南と柳、本田とマダムがばったり出会い、4人でテーブルを囲みますが、その頃、東海林は頼まれたお土産を買うために奔走していました。
時計店で言葉が通じずに困っていると、通りがかりの香港女性が日本語で助け舟を出してくれ、代わりに買い物をしてくれました。
やさしくて美しいその女性に、東海林はほれ込みますが、実はその女性も秀敏なのでした。

ホテルへ戻った3人は、それぞれがそれぞれに、この日出会った美しい香港女性のことを自慢しあいます。もちろん、その女性が同一人物であることなど、彼らは知る由もありません。

夜も更ける頃、本田が突然身体の不調を覚えて医者に診てもらいますが、鍋料理の店で食べた蛇のせいで奇病にかかったことがわかり、帰国を余儀なくされます。
翌日、本田が帰国するため空港に来た3人は、ライバルの「ツバキパスタ」の社長が香港にやってくるのを目撃します。
本田は、「アイシャルリターン」と勇ましい言葉を残し、日本へ帰っていきますが、残された南と東海林は2人だけで頑張ることを決意、空港を後にします。(正編おわり)

本田が帰国した後、香港に残った南と東海林は売り込みに励みますが、仕事は一向に進みません。接待費用がかさんで、所持金も底を尽きかけていました。
東海林は最後の望みであるタイガー公司との交渉に臨むため、ホテルのロビーで坂田と待ち合わせますが、そこで秀敏と再び出会います。秀敏は、宗社長(斎藤達雄)を迎えにホテルに来ていたのでした。

業を煮やした本田は、中山を香港へ送ることにしますが、新婚旅行から帰った娘夫婦と妻・滝子(久慈あさみ)から年寄り扱いされて意地になり、自らの若さを示すため再び香港へ行く決意を固めます。

香港へ着いた本田は、空港で秀敏とぐうぜん再会、彼女の名前を聞き出そうとしますが、うまくかわされます。
一方、南は、柳のもとを訪ね、秀敏が社長秘書を勤めている美麗公司の社長に商談を持ちかけてくれるよう頼みこみ、秀敏は社長がシンガポールから戻り次第交渉してみましょうと快諾します。

東京亭へ行った本田は、マダムを誘ってナイトクラブへ行きます。
するとそこには、東海林が接待で坂田に連れられてやって来ており、また、南は南で、柳の誕生祝いのため、秀敏と来ていました。
思わぬところで仕事に巻き込まれたせいで、マダムは怒って帰ってしまい、おまけに坂田がいんちきなタカリ屋とわかって、本田の浮気も仕事も暗礁に乗り上げます。
しかし、秀敏が美麗公司の社長に話をしてくれたおかげで、商談のチャンスがめぐってきます。
美麗公司の宗社長は、東京で桜堂製薬の経営状況を調査の上、正式に代理店契約を結ぶことを約束してくれました。

ぶじ仕事を終えた3人が帰国すると、彼らが香港芸者と浮気をしていたというデマが流れていました。
香港へ行けなかった営業部長の中山が流したデマでしたが、そのために、本田は妻から、東海林はママから、南は職場のガールフレンド・敬子(藤山陽子)からさんざんにやっつけられます。

香港から桜堂製薬のこれまでの実績と経営状況を調査するため、まず秀敏が極秘裏に来日しました。
行きつけの寿司屋で秀敏とばったり出会った南は、調査を終えたという秀敏を箱根に案内しますが、そこへ本田とマダムがやってきます。
南と秀敏に出くわして慌てた本田は、マダムに素っ気ない態度をとってしまい、結局、本田はマダムに振られてしまいます。

その後、宗社長も来日して、最終的に両社の提携が決まり、椿山荘で記念パーティーが開かれました。
その席上、南は秀敏にプロポーズをしようと思いますが、秀敏は社長の甥である婚約者の張(三船敏郎)を連れて登場、南の恋は失恋に終わるのでした。(続編おわり)



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