ほのぼのホラー 1
(『沖縄怪談 逆吊り幽霊
支那怪談 死棺破り』)

主なスタッフ
製作:大蔵貢 製作補:許承鋲、大蔵満彦
監督:小林悟、邵羅輝 助監督:小川欽也・遠山慎介
脚本:金田光夫、松井稔 撮影:岩橋秀光
音楽:近江俊郎、長瀬定夫 美術:黒沢治安、小汲明
録音:田久保敏夫 編集:金子半三郎
照明:市川幸雄
主なキャスト
比嘉玲子:香取環 比嘉健生:大原譲二
朱美:扇町京子 大場:御木本伸介
井波:若宮隆二 和尚:九重京司
荘周:梅芳玉 田花夫人:白蓉
未亡人:一条美矢子 王子:山本浩

 



あらすじ

美しい社長令嬢・玲子(香取環)を妻に持つ比嘉健生(大原譲二)は、妻が他の男性に奪われてしまうのではないかという、見えない嫉妬にいつも苛まれていました。
玲子の父の急死後、健生は父が経営していた比嘉産業の社長の座におさまりますが、そんなおり、原因不明の病に倒れてしまいます。
玲子とお抱え運転手の大場(御木本伸介)は、健生の病が癒えるよう祈願に出かけ、そこで井波(若宮隆二)という男に絡まれます。
大場によって井波は退けられましたが、玲子が大場と外出したことを知った健生は二人の仲を疑い始め、「君は、心の中ではぼくが死ぬのを願っているんだろう」と玲子をなじると、中国の古い怪談を語って聞かせるのでした。

むかしむかし、隠者の生活にあこがれる荘周(荘子。梅芳玉)は、妻を残して一人仙界へと赴いて老子の許で修業を積み、仙術を身に付けて下界へ戻りました。
山を下りる時、荘周は、夫を亡くした妻(一条美矢子)が夫の墓を乾かしている光景に出くわします。聞けば、夫から「私の墓の土が乾くまでは、他の男と再婚してはならない」と言われたのだそうで、荘周が仙術を使って墓を乾かしてやると、妻は喜び勇んで別の男の胸へ飛び込んでいきました。
これを見た荘周は、妻である田花夫人(白蓉)の気持ちを試してみようと思い立ち、仙術で死んだふりをします。
荘周の葬儀の席上、一人の王子(山本浩)が荘周が亡くなったとは知らずに弟子入りを志願して訪ねてきました。田花夫人は、王子に「夫は亡くなりました」と告げつつも、若い男性の訪問に心ときめかせます。
王子は、せっかくやってきたのだからと、屋敷に逗留して荘周の残した書物を使って学問に励むようになり、結局、田花夫人と結婚することになりました。
ところが、初夜の床で突然王子が苦しみはじめます。王子によれば、人間の脳味噌を食べれば治るとの由。田花夫人は荘周の脳味噌を食べさせようと思い、棺の蓋を開けると、死んだはずの荘周が生き返ります。田花夫人は、どうにかその場を取り繕いますが、二人で屋敷へ戻ると、王子の姿は忽然と消えていました。
荘周が、田花夫人の不貞を糾すため、仙術を使って自分と王子の姿をかわるがわる出現させると、田花夫人は誤って燈籠に抱きついて屋敷は炎上、夫人は焼け死んでしまうのでした。

ひとしきり怪談を語った後、健生が「自分の気持ちが変わらないという証拠を見せろ」と玲子に迫ると、玲子は「そんなに私のことが心配なら、私の顔を醜くすればいいのね」と言って、自分の右目をつぶしてしまいます。

その後、病気が全快した健生は、醜い顔になった玲子への愛情などすっかり冷めてしまい、クラブのホステス・朱美(扇町京子)に入れあげるようになりました。
朱美は健生に自分を妻にして欲しいと懇願し、玲子殺しを迫りますが、それを知った井波は、健生の浮気と玲子殺害計画をネタに健生をゆすります。実は、朱美は井波とも関係を持っていたのでした。
井波は、自分が代わりに玲子を殺してやろうと健生に提案、玲子と大場は井波にスパナでめった打ちにされた末、車ごと崖下に落とされて亡くなります。

朱美はまんまと健生の後妻になりますが、いたるところに玲子の亡霊が現れるようになりました。死体の足に五寸釘を打つと化けて出ないと聞いた健生と井波は、土葬の墓を暴いて玲子の足に五寸釘を打ってしまいます。

そんなある夜、寺の和尚(九重京司)のもとに火の玉が現れて、釘を抜いて欲しいと頼みます。その火の玉は、玲子の霊魂でした。和尚は釘を抜いてやると健生のもとを訪れ、「あなたの妻の亡霊が毎晩泣いて出てくる」と伝えます。

一方、朱美は健生に見切りを付け、井波と東京へ逃げようとします。朱美の裏切りを知った健生は、二人を殺害します。と、そこへ、玲子と大場の亡霊が現れ、健生も転落死し、本懐を遂げた玲子と大場はようやく成仏することができたのでした。





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