早稲田大学演劇博物館所蔵の邵氏シナリオについて 3
3、村山三男作品
村山三男(穆時傑)作品のシナリオは1冊のみ。その内容から、『人頭馬』のシナリオと判明しました。
ちなみに、タイトルの「人頭馬」とは、女が全裸に近い男を馬に見立てて跨り、その速さを競うという、劇中に登場するレースに由来します。
このシナリオで興味深いのは、ほかのシナリオの監督名が全て日本名(というか、元の名前)表記なのに、これだけが「邨山」という中国名らしき表記になっていることです。
どうやら、村山三男の当初の中国名は「穆時傑」ではなく、村山をアレンジした「邨山」だったようです。
4、松尾昭典作品
松尾昭典(麥志和)の作品も1冊のみでした。といっても、松尾が邵氏で撮ったのは1作きりですから(『アジア秘密警察』を除く)、1冊だけしかないのが当たり前なのですが。
こちらもその内容から、すぐに『女殺手』のシナリオと判明しました。
シナリオの『毒針』というタイトルは、ヒロインの女殺し屋が毒針を使ってターゲットを殺害することから付けられたものです。
実際の作品では、何莉莉が女殺し屋を演じました。
追記:その後、この作品が1969年の大映映画『女殺し屋 牝犬』のリメイクであることが判明しました。
くわしくは、こちらをご参照下さい。
5、『水滸伝』
前述したとおり、宮木幸雄(龍/共慕鐸。1934〜)が撮影を担当し、丹波哲郎、黒沢年男(年雄)が出演した作品。邵氏の日本人カメラマンというと、西本正(賀蘭山。1921〜1997)が有名ですが、張徹作品の撮影を多く手がけた宮木の功績に関しても、もっともっと光が当てられるべきでしょう。
演劇博物館所蔵のシナリオは、最初の段階のものと思われる1冊と修正台本1冊の計2冊。修正台本の方が、当然ながら登場人物の設定も細かく、多くのシーンが新たに付け加えられています。
以上、これまでの調査でわかった点や気づいた点に関して記してまいりましたが、香港電影資料館にも中国語版のシナリオがいくつか所蔵されていますので、今後は、それらとの比較対照も必要になってくると考えられます。
そんなわけで、どなたか興味のある方は、ぜひぜひ調査なさってみて下さいまし。よろしくお願いいたします(と、さりげなく押し付けて、とりあえずおしまい)。(了)
付記:これらのシナリオの表紙写真は、立命館大学アートリサーチセンターのデータベース上で見ることが出来ます。
データベースのURLは、http://www.arc.ritsumei.ac.jp/db/daihon/default.htmです。
主要参考文献:
『中華電影物知り帖』(『キネマ旬報』臨時増刊、1996年7月6日号、キネマ旬報社)
『跨界的香港電影』(2000年、康樂及文化事務署)
『邵氏電影初探』(2003年、香港電影資料館)
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