黒鷹(The Black Falcon)




1967年、香港(邵氏)。邵逸夫監督。古川卓巳(戴高美)脚本・監督。張沖、胡燕〔女尼〕、杜娟主演。
古川卓巳監督が邵氏に招かれて撮ったアクション映画。



古川卓巳監督が邵氏で撮った「なんちゃってジェームズ・ボンド」映画
古川監督にはもう1本『風流鐵漢』という邵氏作品がありますが、これもアクション映画のようです。
撮影を、〔龍/共〕慕鐸こと宮木幸雄が担当しています。本作が彼の邵氏での第1作だったはずです。

ストーリーは、下記の通り(だいたい)。

シンガポールの秘密組織「黒鷹集団」が香港に進出、次々と犯罪を犯したため、業を煮やした香港保険業協会(保険金の支払いが急増したので、大損したからみたい)は内偵を開始、探偵の張世傑(張沖〔チャン・チョン〕)は黒鷹集団の首領・譚恭鷹の素性を探るため、譚の娘でフランス留学から帰国したばかりの君莉(胡燕〔女尼〕〔ジェニー・フー〕)に接触します。
これを知った組織は張だけでなく、君莉をも葬り去ろうとします。実は、譚は1年以上前に亡くなっており、譚の秘書だった胡娟(杜娟〔トゥー・チュアン〕)が女ボスとして組織に君臨、譚の名を騙って犯罪の指令を出していたのでした。
これを知った張は君莉の協力を得て組織を壊滅させ、やがて2人は結ばれるのでした。

ほとんど期待しないで観たのですが、そこそこイケていました。
少なくとも、松尾昭典(麥志和)監督(『女殺手』)や村山三男(穆時傑)監督(『殺機』)の作品よりは、いい出来です。
ところどころかなりとほほな部分があり、アクションもややぬるめでしたが、ジョーズみたいな悪役も登場して、とりあえずツボは押えていました。
また、ボンド映画には欠かせないフェロモン部門も、金髪ダンサーやヌード嬢、悪役である杜娟の入浴シーン等、各種取り揃えられています。

突出した傑作というわけではないものの、アクション映画として手堅くまとめてあり、最後まで退屈せずに観ることができる作品です。(とりあえづ了)


本稿は、2004年12月12日に女将のブログ『箪笥のへそくり』に掲載した同名の文章を元に、一部加筆・改稿したものです。



主要参考文献:
『邵氏電影初探』(2003年、香港電影資料館)。





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